【高宕山自然動物園】では「高宕山ニホンザル」を身近で観察できる

千葉県富津市の高宕山(たかごやま)のふもとにある【高宕山自然動物園】では、餌場を作って餌付けした「高宕山ニホンザル」を身近で観察したり、金網越しに手渡しでエサをあげることができるので、観光客に人気となっています。

ここへは、JR内房線の上奏港駅から戸面原ダム行きのバスに乗れば、関豊バス停から歩いて1分で行くことができます。車で行く場合には、館山自動車道の富津中央ICが最寄で、そこから国道127号線を館山方面へと行き、国道465号線→県道88号線と経由して25分くらいで到着します。

歴史的には、1953年に野生のサルの群生地として知られていた、富津市と君津市の境となっている高宕山一帯の調査を、千葉県と学者たちが共同で行なったのが始まりです。

地元農家の三浦八郎右衛門さんは、観光客を呼び集めようとして、2年以上もかけて野生のサルに餌付けして、山奥にいたニホンザルを徐々に人里近くへと移動させました。

1956年1月に三浦さんがサルの移動作戦を開始し、12月に「高宕山のサル生息地」として天然記念物に指定されています。翌年6月20日には当時の皇太子明仁様(今上天皇)もご見学に訪れ、1959年になって地元の観光協会が動物園として開園に漕ぎつけました。

2017年には、ニホンザル164頭の中の57頭が特定外来生物のアカゲザルとの交雑種であるとして、殺処分にするという悲しい出来事もありました。ちなみに、処分されたサルたちのための慰霊祭が2月15日に執り行われています。

園の入口に至る道沿いには、大きく”天然記念物 高宕山のサル生息地”と書かれた記念碑が建てられていて、来園者を出迎えてくれます。そして、入口まで続く長い上り坂の中央は緑色に塗られて、まるで来園者をサルたちの世界へと誘っているようにも感じさせてくれます。

入口を入って受付の建物に行く階段の横には、童謡『お山のお猿』の歌詞が書かれた看板があり、受付の建物の中には歴代ボスザルの写真が飾られていて、サル山への期待が増していきます。

サルたちにあげるエサのサツマイモは100円、それを買って園内へと進むと、園内は金網でサルたちとは隔離されています。エサはその金網越しにサルたちにやることができるのですが、金網の外を野生のサルがやって来ることもあります。

ここの野生のサルたちは他のところのようにエサを狙って襲ってくることはなく、とてもおとなしく人に慣れていて、けっこう近くで黙って座りながら石ころで遊んだりするそうです。但し、やっぱり野生のことですから、彼らにはちょっかいを出さないようにして、金網の中のサルたちの行動を楽しみましょう。

ここでの見どころとしてはエサやりもいいのですが、”マメマメコロコロ”と言ってエサのマメをパイプで流しそうめんのように流してやるイベント(?)があります。パイプの中を水に乗ってマメが流れてくるのを、パイプに沿って一列に並んで掬い取るサルたちの姿はとても愛らしいものです。

国指定の天然記念物になっているニホンザルの生息地は、宮崎県の幸島(こうじま)・大分県の高崎山・岡山県の臥牛山(がぎゅうざん)・大阪府の箕面山(みのおやま)・青森県の下北半島とここ高愛山の6ヶ所ですが、東京に近い千葉県にある高愛山はけっこう穴場の観光スポットだと言えます。